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2011年10月 5日 (水)

志木電子書籍 新刊のご案内 ~ 『光文社争議団』

このたび、10月7日に弊社の新刊を発売いたします。
タイトルは『光文社争議団』です。

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これは私が昨年まで25年間在籍した光文社で1970年に起きた労働争議の記録です。
この争議は解決までに6年半を要しました。
1970年4月、当時の経営者・神吉(かんき)晴夫(カッパ・ブックスの創刊者です)のワンマン経営に批判が噴出、光文社労組は無期限ストライキに突入します。
しかし、会社側も黙ってはいません。経営陣は総退陣しましたが、次の経営陣は争議ゴロを取締役に就任させ、同時に警備員という名の暴力団を導入。会社をロックアウトします。
さらに組合を分裂させ、新たに全光文社労働組合(第二組合)が誕生。多くの労働者が第二組合へと走り職場復帰します(ちなみに1985年に光文社に入社した私は、もちろん第二組合員でした。ただ、その中では厳しい意見を言う人間だったため、相当ににらまれていましたが、、、)。
光文社労働組合(第一組合)に残った人々は、しかしこの闘争を諦めず、暴力団に殴られても蹴られても、あるいは警察(大塚警察署)が介入してきても闘い続けました(大塚警察署は講談社の隣にあります)。
激しい暴力、そして血が流れ、少なからぬ第一組合員が逮捕されました。
しかも、光文社経営の背後には親会社である講談社という強大な総資本が存在しています。
そして、最終的には第一組合対総資本の闘いとなります。
彼我の差は明らかです。
しかし、この闘いに第一組合は完勝しました。
実際、某大学法学部で労働法を専攻した知り合いによれば、当時のゼミの教授は「光文社闘争というのは法律的に見れば組合側の完勝」と言ったそうです。
実はマスメディアでも多くの労働争議が起きていますが、このような形で記録が残っているものはほとんどありません(記し遅れましたが、この本は1977年に刊行されたものです)。そういう意味で、この記録は稀有なものです。

私が光文社に入社した時には、すでに表面的には争議の影響はありませんでしたが、しかしそれなりに名残はありました。それを書くとキリがないので、またいずれかの機会としますが、、、

ところで、これはどこの企業でも同じようなものだと思いますが、光文社でも試用期間が3カ月あり7月に正社員となります。そして、争議後の新入社員はほぼ自動的に第二組合員となるわけですが、私の入社する前年までは、7月になると第一組合の方からこの本をプレゼントされていました。しかし、残念ながら私の年から品切れになったらしく、以後、この本が新人に配られることはなく、借りて読むしかなくなりました。
したがって、もちろん私もその昔に先輩からこの本を借りて読んだものです。
当時、どのような感想を持ったかはすでに忘れてしまいましたが、しかし今、改めて読み直してみると、さまざまな感慨がわいてきます。
まず、第一組合、第二組合を問わず、この本に出てくる方々の中で、亡くなられた方が少なからずいます。その中には良く知っている方ももちろんいます。
また、光文社はこの争議解決から三十年後、いろいろな原因で経営が悪化し始め、昨年、リストラを行なうことになりました。その経緯はたぬきちさんの「リストラなう!」に詳しいですが、本書を読むと私には1970年の労働争議当時と、「リストラなう!」がシンクロしてきます。
もちろん、この二つはまったく違うものですが、しかしどこかでつながっていることも事実です。そういうことは、いずれこのHPか、あるいは私の個人ブログで少し書いてみたいと思います。

さて、しかし今回、私がこの本を電子書籍にしてみようと思ったのは、また違う理由があります。
現在、日本は3月11日に起きた東日本大震災によって大変な影響を受けています。なかでも福島第一原発の破局事故による影響は、もはや日本ばかりか海や空を通じて世界中にまで影響を及ぼしています(断るまでもなく、私はもちろん地震、津波に襲われた地域の方々のことを忘れているわけではありません)。
京都大学の小出裕章助教は、「いま福島で起きていることは戦争以上にひどいことだ」と発言されています。
しかし、にもかかわらず日本の多くの人々は、メディアの報道などによって、なんとなく福島第一原発は収束しているように思い、もはや自分たちにはあまり影響のないものと思っています。
ところが現実には、首都圏にでさえ、日本の法律を厳密にあてはめれば放射線管理区域にしなければならない場所が少なからずあるのです。
そういう状況であるのに、現在、政府では原発を再び稼働させようという動きがあります。そして東京電力は、あれだけの事故を起こしながら、何の責任を問われることもありません。
なぜそのようなことになるのか。
それは電力会社と権力がガッチリと結びついているからです。
3・11以後、国民の間でもやっと脱原発の意識が芽生え始め、過去にない規模のデモが行なわれるようにはなりました。昔から原発に懐疑的だった私からすれば、これは凄いことではあります。
しかし、まだまだその人数はぜんぜん足りません。そして、現状、原発マフィアの側はまだまだ国民をなめきっており、その壁は分厚くしかも高く聳え立っています。
そういう存在を相手にするには、よほど市民の側も腹をくくらなければならないと思います。
先日の反原発デモでも少なからぬ人が逮捕され、また山本太郎氏が告発されたりするような状況が起きていますが、しかしこのようなことはまだまだ序の口で、本気で脱原発を目指そうとすれば凄まじい弾圧が起きることは間違いありません。
権力と闘うとは、つまりそういうことなのです。
本書に登場する労働者も徹底的に弾圧されています。しかし、当時の人々は苦しいながらも熱い気持ちを持って抵抗に抵抗を重ねました。仲間からどんなに逮捕者が出ようとも、それは変わりませんでした。
そして、彼我の差は圧倒的である巨大資本に対して、最後は完全勝利をおさめることができたのです。
私はこの記録を今こそ、是非、多くの人に読んでいただきたいと思っています。

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